忌引き(きびき)とは?取得できる休暇日数や注意点、会社・学校への連絡方法を解説
公開日:2024/04/12
更新日:2024/04/12
忌引き(きびき)休暇とは、大切な方が亡くなられた際に、遺族や近親者が葬儀に参列するために取得する休暇です。忌引き休暇を取得する際には、適切な手続きや連絡方法、そして忌引きに関するマナーを理解しておくことが重要です。
そこでこの記事では、忌引き休暇の意味や公休・有休との違い、取得できる休暇日数について詳しく解説します。さらに、会社や学校への連絡方法や、休暇明けの挨拶など、忌引き休暇を円滑に取得するためのポイントも紹介します。
忌引き休暇に関するマナーや注意点を押さえて、大切な時間を過ごすための準備を整えましょう。
● 忌引き休暇の読み方や意味を知りたい人
● 忌引き休暇と公休、有休の違いを知りたい人
● 忌引き休暇で取得できる日数を知りたい人
● 忌引き休暇の注意点を知りたい人
● 忌引き休暇の会社や学校への連絡方法を知りたい人
忌引き(きびき)とは?
「忌引き(きびき)」とは、親族や近親者が亡くなった際に、喪に服して過ごすことを意味します。ただし、現在では、お通夜や葬儀の準備・参列のための休暇である「忌引き休暇」の意味で「忌引き」という言葉を使用するのが一般的になっています。
忌引き休暇は、労働基準法などの法律で定められた休暇ではなく、会社や学校が独自に設定している制度です。そのため、取得できる日数は会社や学校ごとに異なります。忌引き休暇を取得する際は、会社や学校で定められた規則に基づき、適切な手順で取得することが大切です。
忌引き休暇と公休、有休との違いは?
忌引き休暇は、親族や近親者が亡くなられた際に取得する休暇であり、公休や有休とは性質が異なります。
公休・有休とは?忌引き休暇との違い
公休は、会社や学校が定めた休日のことで、土曜日や日曜日を公休としているケースが一般的です。一方、有休(年次有給休暇)は、労働基準法で定められた従業員の権利となる休暇のことです。会社は一定の条件を満たした従業員に対しては、有休を付与しなければなりません。
公休が無給であるのに対し、有休は休んだ日数に対しても給料が発生します。
忌引き休暇は、有休のように法律で定められた休暇ではありません。会社が独自で設定している休暇制度のため、忌引き休暇中の給料の扱いも会社ごとに異なります。
会社によっては、忌引き休暇中も給料が発生する場合もありますが、欠勤扱いになるケースもあります。忌引き休暇中の給料については、ご自身の勤める会社の就業規則を確認しましょう。
忌引き休暇と公休が重なった場合は?
公休日と忌引き休暇が重なった場合、基本的には公休日を除いた日数が、忌引き休暇扱いとなります。
例えば、就業規則に則って「3日間の忌引き休暇を取得」となったとし、通夜・葬儀の日程が、土曜日(公休日)・日曜日(公休日)・月曜日の3日間にわたっていたとしましょう。
この場合、土曜日と日曜日の2日間は公休日となり、月曜日のみ忌引き休暇として扱われます。つまり、3日間の忌引き休暇が認められていても、実際に忌引き休暇として取得できる日数は1日だけになるのが一般的です。
ただし、公休日と忌引き休暇が重なる場合の扱いについては、会社によってルールが異なることもあります。適切な日数の忌引き休暇を取得するためにも、あらかじめ就業規則を確認しておくことが大切です。
忌引き休暇の日数は何日?
忌引き休暇の取得日数は、会社や学校が定める規則によって異なります。また、一般的には亡くなられた方との続柄に応じて、取得できる休暇日数が変わります。
忌引き休暇は「3親等」までが一般的
忌引き休暇の取得が認められるのは、一般的には「3親等」までです。3親等までの親族には、本人から見て以下の続柄の方が該当します。
親等 | 続柄 | 休暇日数の目安 |
0親等(親等なし) | 配偶者 | 10日 |
1親等 | 父母 | 7日 |
1親等 | 子 | 5日 |
1親等 | 義理の父母 | 3日 |
2親等 | 兄弟姉妹、祖父母 | 3日 |
2親等 | 義理の祖父母、義理の兄弟姉妹 | 1日 |
3親等 | 曾祖父母、甥姪、叔父叔母 など | なし~1日 |
休暇日数は、会社や学校の規則により異なりますが、上記の表では一般的な目安を紹介しました。同じ親等でも続柄が違う場合は(例えば同じ1親等でもご自身の父母と義理の父母など)休暇日数が異なります。
また、3親等の親族の場合、忌引き休暇が認められないケースもあるため、あらかじめ就業規則を確認しておきましょう。忌引き休暇が認められない場合でも、有給休暇を取得すれば、葬儀に参列することが可能です。
忌引き休暇が始まるのはいつから?
忌引き休暇の取得開始日は、会社や学校の規則によって異なりますが、一般的には故人が亡くなられた当日または翌日からです。
また「亡くなった当日を1日目とする」「当日の休みは有給扱いとし、翌日から日数を数える」など、忌引き休暇のカウントの仕方は会社や学校ごとに異なるので、就業規則や生徒手帳を確認しましょう。
忌引き休暇を取得するための注意点
忌引き休暇は、近親者が亡くなられた際に取得する休暇のため、どうしても急な休みとなるケースも少なくありません。
また、亡くなられた方の続柄によっては、1週間以上の休暇を取ることもあるため、ご自身が休みの間にも仕事や学業に差しさわりがないよう、事前に以下の注意点について理解しておきましょう。
就業規則を確認しておく
忌引き休暇の取得日数や取得方法については、会社や学校ごとにルールが異なります。こうしたルールは、会社であれば就業規則、学校であれば生徒手帳などに記載されているのが一般的です。
忌引き休暇の取得が必要になった場合に備えて、あらかじめ就業規則や生徒手帳を確認して、取得日数や取得方法などを把握しておくことが大切です。
必要書類を確認しておく
忌引き休暇を取得する場合、会社によっては「忌引き証明書」の提出が求められることもあります。忌引き証明書は忌引き休暇明けに提出するのが一般的です。
忌引き証明書は公的な書類ではなく「死亡診断書」「埋葬許可証・火葬許可証」「葬儀証明書」「会葬礼状」などがそれに該当します。忌引き休暇に入る前に、必要書類について確認し、滞りなく書類を準備できるようにしておきましょう。
忌引きがわかったら速やかに連絡をする
忌引き休暇を取得することになったら、なるべく早く会社や学校に連絡しましょう。とくに、会社の場合は、ご自身が忌引き休暇中の業務を、ほかのスタッフに引き継ぐ必要があります。また、関係各所にご自身が不在の場合の対応方法などを連絡する必要もあるでしょう。
こうした引継ぎや連絡をスムーズに行うためにも、忌引き休暇を取得する旨は、なるべく早めに連絡することが大切です。職場や学校内にいる場合は、すぐに上司や担任の先生に口頭で伝えます。外出している場合は電話でも問題ありません。
電話が難しい状況であれば、メールやショートメールなどで連絡しましょう。ただし、メールやショートメールで連絡した場合は、相手が内容を確認していない可能性もあります。電話や口頭で伝えられるタイミングができ次第、すぐに再度の連絡をしましょう。
また、上記のように、まずは速やかに第一報を伝えたあと、休暇についての詳細連絡をメールで送るのが望ましいです。忌引き休暇の連絡については、次の章で詳しく解説します。
忌引き休暇の連絡のポイント
ここからは、忌引き休暇の連絡時に伝えるべきポイントやメール連絡の際の文例などを紹介します。
忌引き休暇の連絡時に伝えるべき項目
忌引き休暇の連絡の際は、以下の項目を直属の上司や担任の先生に伝えましょう。
● 近親者が亡くなったこと
● 故人との続柄
● 葬儀の日時
● 取得したい忌引き休暇の日数
● 忌引き休暇中の連絡先
ご自身が喪主となる場合は、休暇日数が長くなる可能性もあります。また、故人との続柄によっては、会社や学校関係者が葬儀に参列する可能性もあるでしょう。その場合は、口頭や電話による第一報のあとに、詳細を会社や学校に相談します。
忌引き休暇の連絡時のメール文例(会社・学校)
ここでは、会社の上司や学校の先生に送るメール文例を紹介します。メールで連絡する際も、前述した伝えるべき項目を端的にまとめましょう。
<会社の上司への連絡文例>
件名: 忌引き休暇取得のご連絡
〇〇部 〇〇課
部長 〇〇様
お疲れ様です。
この度、私の母が亡くなりました。
通夜と告別式への参列のため、忌引き休暇を取得させていただきます。
以下に詳細を記します。
忌引き休暇期間: 〇月〇日~〇月〇日 計〇日間
通夜: 〇月〇日
告別式: 〇月〇日
葬儀会場:〇〇斎場
休暇中は自宅にて故人を偲び、葬儀関係の手続きを行う予定です。緊急の際には、私の携帯xxxx-xxxx-xxxxまでご連絡ください。
不在中はご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
<学校の先生への連絡文例>
件名:忌引き休みのご連絡
〇年〇組
担任 〇〇先生
いつも大変お世話になっております。
〇〇〇〇(生徒の氏名)の母の〇〇です。
この度、〇〇の祖母が亡くなりました。
それに伴い、通夜と告別式への参列のため、忌引き休みをいただきたくご連絡いたしました。
以下に詳細を記します。
忌引き休み期間: 〇月〇日~〇月〇日 計〇日間
通夜: 〇月〇日
告別式: 〇月〇日
葬儀会場:〇〇斎場
緊急の際には、〇〇の母の携帯xxxx-xxxx-xxxxまでご連絡ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
忌引き休暇取得後のマナー
忌引き休暇を取得し、会社や学校に復帰する際は、復帰の挨拶や休暇取得に対するお礼を伝えましょう。また、会社や学校関係者の方からお香典をいただいた場合は、復帰の際に香典返しをお渡しします。
ここからは、こうした忌引き休暇後のマナーについて詳しく見ていきましょう。
休暇明けの挨拶と報告について
忌引き休暇から復帰した際には、会社であれば上司や同僚、学校であれば担任の先生に葬儀の様子などを報告します。報告の際は「◯◯の葬儀に参列させていただき、無事に通夜・告別式を執り行うことができました」など、簡潔に伝えるのが一般的です。
また、休みの間に業務を引き継いでくれた上司や同僚には、感謝の気持ちを伝えましょう。
忌引き休暇が1週間〜10日など、比較的長い期間になった場合は、菓子折りなどを持参して挨拶をする方法もあります。こうしたお礼の品があると、感謝の気持ちを伝えやすいこともあるでしょう。
ただし、近年では菓子折りの持参などを控える職場もあります。復帰の際の挨拶は、職場の雰囲気やこれまでの習慣などを参考に、自然な形でお礼を伝えるよう心がけましょう。
必要に応じで香典返しをお渡しする
会社や学校の関係者が、葬儀に参列してくださったり、個人のお名前でお香典をいただいたりすることもあるでしょう。ご自身が喪主であった場合は、復帰のタイミングで香典返しをお渡しします。
香典返しはいただいた金額の半額相当の品物をお渡しするのが一般的です。香典返しの品には、あとに残らないお茶やお菓子、洗剤などの消耗品といったいわゆる「消えもの」を選びましょう。
ただし、会社名義や企業名と役職が併記されたうえで社長の個人名でお香典をいただいた場合は、会社の経費や福利厚生で支給されているため、香典返しは必要ありません。判断が難しい場合は、さりげなく総務部などの担当部署に確認してみるといいでしょう。
忌引き休暇は規則を確認して適切に取得しましょう
忌引き休暇とは、近親者が亡くなられた際に、お通夜や葬儀に参列するために取得する休暇のことです。会社が指定する休みである公休や、労働基準法で定められている有休(年次有給休暇)とは性質が異なり、忌引き休暇の取得方法やルールは会社や学校ごとの規則で決められています。
忌引き休暇の取得日数は、故人との続柄によって決まりますが、一般的には3親等までの親族の場合、取得が可能です。ただし、会社や学校によっては、3親等では取得できないケースもあります。
忌引き休暇のルールは会社の就業規則や学校の生徒手帳に記されています。忌引き休暇が必要な際にスムーズに取得するためにも、あらかじめ規則を確認しておくことが大切です。
忌引き休暇を取得する際は、速やかに上司や担任の先生に連絡をしましょう。また、休暇後の挨拶や報告では、休暇をいただいたことに対するお礼を伝えるのがマナーです。
ぜひこの記事を参考に、忌引き休暇の意味や取得方法を理解して、適切な方法で休みを取得できるようにしましょう。