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末期の水(まつごのみず)、死に水とは?儀式のやり方や作法、宗教宗派による違いを解説

公開日:2024/10/16

更新日:2024/10/16

末期の水(まつごのみず)、死に水とは?儀式のやり方や作法、宗教宗派による違いを解説

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「末期の水(まつごのみず)」や「死に水」とは、ご臨終後に故人の口に水を含ませる大切な儀式です。この儀式には、故人が安らかに旅立つことを祈り、最期の時を見守る意味が込められています。

本記事では、末期の水(死に水)の意味や行うタイミング、宗教・宗派ごとの違い、さらには葬儀までの流れについて詳しく解説します。末期の水(死に水)に関する知識を深め、適切な準備を行いましょう。

こんな方にオススメ!

● 末期の水(死に水)の意味を知りたい人
● 末期の水(死に水)を行うタイミングを知りたい人
● 末期の水(死に水)のやり方や作法を知りたい人
● 末期の水(死に水)の宗教・宗派による違いを知りたい人
● 末期の水(死に水)から葬儀までの流れを知りたい人

1.末期の水(まつごのみず)とは

末期の水(まつごのみず)とは、臨終を迎えた故人の口に水を含ませる儀式のことで、死に水(しにみず)とも呼ばれています。末期の水(死に水)は、故人が生前に受けた苦しみや煩悩を洗い流し、安らかな旅立ちを祈るという意味が込められている大切な儀式です。

末期の水(死に水)の由来は諸説ありますが、仏教の場合はお釈迦様の入滅前のエピソードに由来するとされています。

お釈迦様は入滅の直前、弟子たちに「水が飲みたい」と伝えました。しかし、近くの川の水が汲めずに弟子たちが困っていたところに、雪山の鬼神が現れてお釈迦様に浄水を捧げたとされてます。この話が日本に伝わり、末期の水として定着したという説があります。

2.末期の水(死に水)をとるタイミング

末期の水(死に水)は、ご臨終を迎えた直後に行う最初の儀式です。湯灌(ゆかん)の儀や清拭(せいしき)といったケアよりも前に実施され、故人が安らかに旅立つことを願い、ご遺族が祈りを捧げます。

本来、末期の水(死に水)は、臨終を迎える直前に行う儀式でした。末期の水(死に水)には、宗教的な意味だけではなく、口に含ませた水が喉を通るかどうかを確認して、生死を判断するといった意味もあったのです。しかし、現代では医療環境や臨終を迎える状況が変わったため、故人が息を引き取った直後に行う形となりました。

現在の日本では、多くの方が病院で息を引き取るため、末期の水(死に水)は病院の病室で行われるのが一般的です。ただし、ご自宅で亡くなられた場合は、そのままご自宅で末期の水(死に水)をとるケースもあります。ご自宅で行う場合は、訪問看護師や葬儀社のスタッフにサポートしてもらうといいでしょう。

関連記事:
「湯灌の儀」とは? 〜その意義や手順、「エンバーミング」「死に化粧」「エンゼルケア」との違いを解説〜

3.末期の水(死に水)のやり方

末期の水(死に水)は、故人の安らかな旅立ちを祈る大切な儀式のため、適切なやり方や手順を理解しておくことが大切です。末期の水(死に水)のやり方には、宗教や宗派、地域ごとに異なる点がありますが、ここでは一般的なやり方や手順を紹介します。

末期の水(死に水)の道具

末期の水をとる際は、以下のものを用意しておくのが一般的です。

<用意するもの>
・水
・小皿やお椀
・脱脂綿
・割りばしと輪ゴム
・顔を拭く白い布 など

こうした道具は、病院や葬儀社がセットで用意してくれることもありますが、用意がない場合は喪主が準備を行います。そのため、事前に病院や葬儀社のスタッフに確認しておくといいでしょう。
また、地域によっては脱脂綿の代わりに鳥の羽や菊の葉を、箸の代わりに新しい筆を使う場合もあります。その地域の風習なども、あわせて確認しておきましょう。

末期の水のとり方・作法

① まずは、小皿やお椀に水を注ぎます。水は特別なものを用意する必要はなく、普段飲料水として飲んでいるものを使用してください。続いて、脱脂綿を箸の先に巻き付けて、輪ゴムで留めます。

② 箸の先につけた脱脂綿を小皿の水に軽く浸して濡らし、故人の唇へ運びます。唇を濡らす際は、上唇を左から右へ、その後、下唇を左から右へと順になぞります。

③ 最後に、故人の顔を拭き清めます。拭き方は、まずは額を左から右に、続いて鼻を上から下に、最後に顎まわりを左から右に拭いていきましょう。

末期の水をとる一般的な順番

末期の水は、故人との関係が近い順に行うのが一般的です。

1.配偶者
2.子(長男または長女から順に)
3.両親
4.兄弟姉妹
5.子の配偶者
6.孫
7.その他の親族(いとこなど)

このように、末期の水は故人との血縁が近いご遺族から順番に行います。ご遺族が揃っていない場合は、到着を待ってから儀式を執り行うのが一般的です。
ただし、到着がどうしても送れてしまう場合は、すでにそろっているご遺族、親族の中で、上記の順番に従い儀式を進める場合もあります。

4.末期の水(死に水)に際しての注意点

末期の水(死に水)を行う際には、いくつかの注意点があります。

まずは、故人を看取った方全員が、順番に行うことが大切です。ただし、1人の方が複数回行うのは避け、全員が等しく故人を見送る機会を持つことを意識しましょう。

また「なるべく故人の喉をうるおしてあげたい」という思いから、ついたくさんの水を含ませてしまう方もいるかもしれません。しかし、末期の水(死に水)では、無理に故人の口に水を入れるのではなく、唇を湿らせる程度に留めましょう。

末期の水(死に水)には水が用いられるのが一般的ですが、近年では、故人が生前好んでいたお茶やお酒を用いるなど、柔軟な対応も増えています。病院や葬儀社のスタッフと相談しながら、故人のお見送りにふさわしいものを選びましょう。

5.宗教、宗派別の末期の水(死に水)について

末期の水(死に水)の儀式は、宗教や宗派によって異なる点があります。ここでは、仏教の中でも浄土真宗での考え方と、さらに神道、キリスト教における末期の水の扱いについて解説します。

浄土真宗

仏教の中でも、浄土真宗では、末期の水(死に水)の儀式を行わないのが一般的です。浄土真宗の教えでは、亡くなった方はすぐに阿弥陀如来の力により極楽浄土に導かれるため、末期の水による浄化や魂の安寧を祈る儀式は必要とされていません。
ただし、地域によっては慣習として、浄土真宗でも末期の水を取る場合もあるため、事前に葬儀社や宗教者と相談しておくといいでしょう。

神道

神道では、仏教と同様に末期の水(死に水)の儀式を行います。ただし、神道では脱脂綿の代わりに、榊(さかき)の葉先を水で濡らしたものを用います。
神道では死は「穢れ」と考えられており、末期の水(死に水)で穢れを祓うとされています。そのため、脱脂綿ではなく神様が宿ると考えられている榊を用いるのです。

キリスト教

キリスト教では、末期の水(死に水)は行われないのが一般的です。その代わりに、キリスト教独自の儀式が行われます。
キリスト教の中でも、カトリックの場合は「病者の塗油の秘跡」という儀式を行います。この儀式は、臨終の際に、神父が聖書を朗読しながら、故人の額と両手に聖油で十字架をしるし、罪の許しを請うものです。
また、プロテスタントの場合は、臨終に牧師が立ち会い、パンとぶどう酒を与える「聖餐式(せいさんしき)」を行います。臨終後は、仏教と同じような「死に水」の儀式を行う場合もあります。

関連記事:
キリスト教のお葬式の流れは?仏教との違いやカトリック・プロテスタントそれぞれの特徴を解説

6.末期の水(死に水)から葬儀までの儀式の流れ

臨終を告げられた直後に行う儀式である末期の水(死に水)ですが、その後も、故人をお見送りするためのケアや儀式が続きます。末期の水(死に水)から葬儀までの流れは、以下のとおりです。

儀式・ケア 内容
末期の水(死に水) ご臨終を迎えた後に行う最初の儀式で、故人の口元に水を含ませ、安らかな旅立ちを祈ります。
湯灌(ゆかん)の儀
清拭(せいしき)
湯灌の儀は、故人の全身をぬるま湯で清めるものです。葬儀社などの専門スタッフが行うのが一般的です。
清拭は、故人の体をアルコールに浸した脱脂綿で丁寧に拭き清めるケアです。
着替え、死化粧 故人に衣服を着せる儀式です。伝統的には白装束(死装束)を着せることが一般的ですが、家族の希望により故人が愛用していた服を着せることもあります。
着替えのあとには、故人が安らかに眠れるように髪や表情、身だしなみを整え、化粧を施します。
遺体安置 故人を自宅や葬儀社の安置室に移し、遺体を安置します。
枕飾り 故人の遺体のそばに祭壇を設け、枕飾りを行います。宗派に応じた飾り方をすることが求められます。
通夜・葬儀・告別式 通夜と葬儀・告別式は、故人とのお別れの場です。通夜は故人と近しい人々が集まり、故人のために祈りを捧げます。葬儀・告別式は、ご遺族や親族、故人の知人や友人などが参列し、故人に最後の別れを告げます。

また、何らかの事情で亡くなられてからすぐに葬儀・火葬ができない場合などは、エンバーミングというケアを行う場合もあります。エンバーミングでは、ご遺体を殺菌・消毒したうえで、血液や体液を専用の薬剤と入れ替えるといった化学的な処置を行います。これは、ご遺体の長期保存が目的です。
大切な方が亡くなった際に、葬儀・火葬まで後悔のない儀式やケアを行うためにも、事前に全体の流れや意味を把握しておくことが大切です。

関連記事:
・「湯灌の儀」とは? 〜その意義や手順、「エンバーミング」「死に化粧」「エンゼルケア」との違いを解説〜
・枕飾りはいつどのように行うか?宗教別に飾り方や必要なもの、注意点を解説
・死装束は左前?右前?着せ方や装具の種類、宗教での違いを解説

7.末期の水(死に水)の意味を理解して、故人をお見送りしましょう

末期の水(死に水)とは、故人が亡くなった直後に行う最初の儀式のことです。この儀式では、故人の口に水を含ませて、故人の安らかな旅立ちを祈ります。末期の水(死に水)を取る際は、必要な道具を用意して、適切な作法に則り行います。

ただし、末期の水(死に水)のやり方や作法は、宗教や宗派、地域ごとに異なる点もあるため、事前に葬儀社のスタッフや宗教者に確認しておくことも大切です。この記事を参考に、末期の水(死に水)の意味を理解して、故人の旅立ちを見送りしましょう。

メモリアルアートの大野屋では、葬儀の事前相談を受け付けています。ご遺体の安置方法でご不明な点がありましたら、ぜひお問合せください。

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