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宗教・宗派別、葬儀の違いを比較解説! お焼香の作法は? 香典の表書きは何と書く?

公開日:2024/11/19

更新日:2024/11/20

宗教・宗派別、葬儀の違いを比較解説! お焼香の作法は? 香典の表書きは何と書く?

葬儀アイコン目次

こんな方にオススメ!

● 日本で行われる葬儀の種類について知りたい
● 宗教や宗旨、宗派による葬儀の違いを知りたい
● 宗教・宗派が分からないので調べたい

1.日本における宗教別葬儀の割合は?

一般的に、お葬式は故人や遺族が信仰する宗教・宗派にもとづいて行われます。文化庁がまとめた『宗教年鑑(令和5年版)』によると、各宗教団体の信者数は、2022年12月31日時点で約1億6300万人と、日本の総人口を上回る数字となっており、多くの日本人が複数の宗教を信仰していることが分かります。仏教徒でありながら、クリスマスを楽しんだり、お正月は神社へ初詣に行くなど、宗教に対する寛容さは日本の特徴といえるでしょう。具体的な内訳としては、仏教が43.4%、神道が51.5%、キリスト教が0.8%、その他の宗教が4.3%と、国民の半数以上が仏教以外の宗教を信仰しているというデータ結果になっています。

その一方で、「一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会」が2015年に行ったアンケート調査によると、日本で行われている葬儀は約9割が仏式です。この結果から分かる通り、日本ではお葬式のほとんどが仏式で行われているため、仏教以外の葬儀についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、無宗教を含む代表的な四つの宗教別葬儀について、葬儀の意義や特徴などを解説し、あわせて宗教・宗派が分からない場合の確認方法についてもご紹介します。

2.各宗教における葬儀の意義

葬儀の形式や内容は、宗教・宗派によって大きく異なります。理由は、それぞれの宗教・宗派で「死生観」が異なるためです。ここでは、無宗教を含めた主な宗教における葬儀の意義をご紹介します。自分の宗教・宗派以外についても理解しておくと、葬儀に参列する際などに役立つでしょう。

【仏教】

仏教の多くの宗派において、葬儀は故人の冥福を祈り、次の生への旅立ちを見送る儀式とされています。仏教では「輪廻転生(りんねてんせい)」といって魂が何度も生まれ変わるとされていることから、死は新しい生への移行と考えられ、葬儀では故人が安らかに成仏できるよう祈ります。同時に、遺された家族にとっては、故人との別れを受け入れて心を整える機会でもあります。
ただし、仏教の中でも浄土真宗においては、葬儀は故人との別れのために行うものではなく、阿弥陀如来への感謝を表すために行う勤行とされています。なぜなら、浄土真宗では、亡くなった後すぐに阿弥陀如来によって極楽浄土に迎えられるという「臨終即往生(りんじゅうそくおうじょう)」の教えがあるため、成仏を祈る必要がないと考えられているからです。

【神道】

神道における葬儀を「神葬祭(しんそうさい)」といいます。神道における葬儀では、故人の魂が神々の世界に戻り、祖先の神として子孫を見守る存在になることを願います。また、神道では「死」を「穢れ(けがれ)」と捉えることから、神式葬儀には「穢れを祓う(はらう)」目的もあるとされています。

【キリスト教】

キリスト教には複数の教派が存在し、代表的なものに「カトリック」と「プロテスタント」があります。同じキリスト教であっても、カトリックとプロテスタントでは「死」に対する捉え方が異なるため、葬儀を行う目的にも違いがあります。

<カトリック>

キリスト教では、亡くなった人の魂は神のもとに召されると考えられています。カトリックの教えでは、死後の魂は、生前の行いによって天国や辺獄、煉獄、地獄などの行き先が決まるとされているため、葬儀では故人の罪の赦しを願い、魂が清められて天国に行けるよう祈りを捧げます。「魂の清めと祈り」に重点が置かれているのがカトリックの葬儀の特徴です。

<プロテスタント>

プロテスタントでは、カトリックのように生前の行いによって行き先が分けられるという概念はなく、信仰によって救われた人は誰もが天国に行けると信じられています。そのため、葬儀においても、故人の魂を救うために赦しを請うといった儀式はありません。故人の信仰をたたえ、神のもとで安らかに過ごせることを祝福し、神に感謝する場とされています。

【無宗教】

無宗教の葬儀では、特定の宗教儀式や慣習にとらわれることなく、自由な形で故人を偲びます。宗教的な制約がないため、故人の意思や家族の希望を反映した葬儀が行われ、「お別れの場」や「感謝を伝える場」としての役割を持つことが多いようです。

【各宗教における葬儀の意義】

宗教 宗教者 葬儀を行う場所 葬儀を行う意義
仏教 導師(どうし) 寺院、斎場など 故人の冥福を祈る
※浄土真宗では異なる
神道 斎主(さいしゅ) 斎場、自宅など
※神社では行わない
故人が子孫の守り神になることを願う。「穢れ」を清める
キリスト教

カトリック:
神父(しんぷ)・司祭(しさい)

教会、斎場など 故人の罪の赦しを願い、祈りを捧げる
プロテスタント:
牧師(ぼくし)
教会、斎場など 信仰をたたえ、神に感謝する
無宗教 斎場、自宅など 故人の意思や遺族の思いにもとづく

3.【仏教】の葬儀の特徴

前述したとおり、日本ではほとんどのお葬式が仏教の形式で行われています。仏式葬儀では、通常2日間にわたって営まれ、1日目にお通夜、2日目に葬儀・告別式という流れが基本です。一般的な葬儀で行われる、僧侶による読経、お焼香、参列者が数珠を手に合掌するといった儀式は、すべて仏教の教えにもとづくものであり、その他の宗教の葬儀では行われません。

■ 仏教の伝来と宗派の派生

「仏教」と一言でいっても、仏教は非常に数多くの宗派に分かれており、現在の日本では13宗56派が存在します。もともと仏教は2500年前頃にインドでブッダが開いた宗教であり、ここから派生した分派のことを宗派と言います。その後、中国や朝鮮半島を経由して日本に伝来したのが6世紀半ばのこと。聖徳太子が摂政として天皇の政治を補佐した際に、法隆寺を建立し、仏教の教えを取り入れた新しい国づくりを目指したことが日本に仏教が広まるきっかけとなりました。

平安時代までに日本に伝わった仏教の八つの宗派を「八宗(はっしゅう)」といい、これは奈良時代の「南都六宗(三論、成実、倶舎、法相、華厳、律)」と、最澄が開いた「天台宗」、空海を開祖とする「真言宗」を合わせた8宗のことを指します。さらに、鎌倉時代に入ると、法然が開いた「浄土宗」、親鸞の「浄土真宗」、日蓮の「日蓮宗」、栄西の「臨済宗」、道元を開祖とする「曹洞宗」といった、現代につながる多くの新しい宗派が生まれました。

現在の日本の代表的な仏教の八つの宗派を「日本八宗」といい、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗がこれにあたります。宗派別の割合は、浄土真宗が48%と最も信者数が多く、続いて浄土宗19%、曹洞宗12%、日蓮宗10%、天台宗3%、真言宗3%、臨済宗1%以下となっています。

■ 葬儀における宗派別の違い

僧侶が読むお経の種類、焼香の作法や線香のあげ方などは宗派によって細かく異なります。以下に基本的な各宗派の違いをまとめていますので、お役立ていただければ幸いです。ただし、焼香の作法などは地域や寺院の方針によっても変わる場合があります。

押しいただくイラスト

宗派 シェア お経 焼香 線香 香典の表書き
浄土真宗
本願寺派・真宗大谷派
48% 南無阿弥陀仏
(なむあみだぶつ)
(本願寺派)
額に押しいただかず1回
1本を二つに折って寝かせる 御仏前
御香典
(真宗大谷派)
額に押しいただかず2回
浄土宗 19% 南無阿弥陀仏
(なむあみだぶつ)
額に押しいただいて3回 1本 御霊前
御香典
曹洞宗

12%

南無釈迦牟尼仏
(なむしゃかむにぶつ)
額に押しいただいて1回、
押しいただかずにもう1回
1本 御霊前
御香典
日蓮宗 10% 南無妙法蓮華経
(なむみょうほうれんげきょう)
額に押しいただいて3回 1本または3本 御霊前
御香典
天台宗 3% 南無阿弥陀仏
(なむあみだぶつ)
額に押しいただいて3回 3本 御霊前
御香典
真言宗 3% 南無大師遍照金剛
(なむだいしへんじょうこんごう)
額に押しいただいて3回 3本 御霊前
御香典
臨済宗 1%以下 南無釈迦牟尼仏
(なむしゃかむにぶつ)
額に押しいただかず1回 1本 御霊前
御香典

4.【神道】の葬儀の特徴

神式の葬儀である「神葬祭」は、仏式葬儀と同じく2日間にわたって行われます。仏式の葬儀・告別式にあたる「葬場祭(そうじょうさい)」と、その前夜に仏式の通夜に相当する「通夜祭(つやさい)」を行います。神葬祭について統一された式次第は存在せず、地域の慣習や神社、葬儀を司る神職などによって作法や流れは異なります。

■ 玉串奉奠(たまぐしほうてん)

仏教儀式である焼香は神式葬儀では行われませんが、仏教の焼香にあたるものとして「玉串奉奠」が行われるのが神式葬儀の特徴です。玉串とは榊の枝に「紙垂(しで)」と呼ばれる紙片を付けたもので、玉串奉奠の儀式では参列者が玉串を祭壇に捧げて祈ります。

■ 神式葬儀の香典

神式葬儀に参列する際は、仏式の香典にあたる「玉串料」を不祝儀袋に包んで持参します。表書きは、「玉串料(または御玉串料)」、「御榊料」、「「御神前」などとします。蓮の花が描かれた不祝儀袋は仏式用であるため、神道の葬儀では無地のものを選びましょう。水引は、黒白または双銀、双白の結び切りのものを用います。

5.【キリスト教】の葬儀の特徴

キリスト教のお葬式は、納棺、通夜、葬儀といった大まかな流れは仏式葬儀と変わりません。もともとキリスト教には通夜を行う慣わしはありませんが、日本の風土や習慣を取り入れて、通夜にあたる集いを設けるようになりました。葬儀で行われる儀式の内容は仏式とは大きく異なります。また、カトリックとプロテスタントでは葬儀の目的や進め方、葬儀に関する用語などにも違いがあるので事前に把握しておくと良いでしょう。

<教派による違い>

■ 献花

キリスト教の葬儀では、焼香ではなく「献花」を行って故人を送り出すことが特徴です。献花とは、参列者が一本ずつ花を献花台に供える儀式のことを言います。作法としては、花を受け取ったら献花台へ進んで一礼し、花を時計回りにゆっくりと回して茎部分を献花台に向けた形で献花台に供え、黙祷、一礼するのが基本的な流れです。

■ キリスト教葬儀の香典

キリスト教の葬儀では、香典にあたる「御花料(おはなりょう)」を持参します。御花料を包む際は、ユリの花や十字架があしらわれたキリスト教用の香典袋を準備するか、専用の香典袋を用意することが難しい場合は白無地の封筒を使用しましょう。水引は必要ありません。

表書きは「御花料」とすれば、カトリックとプロテスタントのどちらにも対応できます。ただし、宗教や宗派が分からないときなどに用いられる「御霊前」は、プロテスタントでは使用できないので気をつけましょう。

6.【無宗教】の葬儀の特徴

無宗教葬儀では、宗教に関わる儀式を一切行いません。宗教・宗派にとらわれない葬儀形式であることから「自由葬」と呼ばれることもあります。宗教上の制約がないため、葬儀内容を自由に決められる点が無宗教葬儀のメリットといえるでしょう。
葬儀の流れに特に決まりはありませんが、仏式の読経や焼香に代わるものとして、黙祷や献花が行われることもあります。その他、故人の好きだった音楽を流したり、思い出の映像を流したりといった、故人や遺族の希望を反映したオリジナルの演出ができるのも無宗教葬儀の特徴です。

■ 無宗教葬儀の香典

無宗教の葬儀に参列する際は、遺族が辞退している場合を除いて香典を持参しましょう。一般的な不祝儀袋または白無地の封筒に包みます。このとき、蓮の花が描かれた仏式用の不祝儀袋を誤って使用しないよう気をつけましょう。表書きは「御霊前」や「御香典」、「御花料」といった、宗教とは関係のない表記を用いることがマナーです。

7.宗教・宗派が分からない場合の調べ方

自分の家の宗教・宗派が分からない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。神道やキリスト教などの場合は比較的自分の宗教を把握している場合が多い印象ですが、仏教においては、正確に把握していない方が少なくないようです。一言で「仏教」といってもさまざまな宗派があり、それぞれ葬儀の意義や作法も異なります。宗教・宗派を理解していなくても普段の生活では特段困ることはないかもしれませんが、葬儀を行う際に把握していないと、本来とは異なる宗派の形式で葬儀をあげてしまい、お墓に遺骨を納めてもらうことができなくなるといった不都合が生じかねません。

ここでは自分の家の宗派が分からない場合の調べ方をご紹介します。トラブルを回避し、もしものときに慌てないためにも、あらかじめ調べておくことをおすすめします。

■ 菩提寺を調べる

仏教の宗派を調べるときに、もっとも確実なのは菩提寺を調べる方法です。菩提寺とは先祖代々のお墓がある寺院のことで、菩提寺が分かれば直接問い合わせて宗派を確認することができます。もし菩提寺が分からない場合は、父方の兄弟姉妹など親戚にたずねてみると良いでしょう。昔は現在に比べてお寺との関係性が深かったため、自分より上の世代の親戚ならその家の菩提寺や宗派について把握している可能性があります。ただし、昔の記憶をたどった場合などは必ずしも正確に覚えているとは限らないため、親戚から得た情報をもとに菩提寺と思われる寺院に連絡をして、間違いがないようしっかりと確認しましょう。

■ 仏壇で見分ける

故人の自宅や実家などに仏壇がある場合、仏壇から宗派を確認することができます。寺院に祀られる本尊が異なるのと同様に、宗派によって仏壇にも違いがあるためです。本尊に何が祀られているか、またその両脇に配置されているものが何かを確認できれば宗派が分かります。
仏壇の他、位牌に記された戒名、位牌の代わりに安置された過去帳や法名軸といったものから宗派が分かる場合もあります。また、仏壇の周りに置かれた小物や経典に菩提寺の名前が入っていることもあるのであわせて確認してみると良いでしょう。

■ お墓で見分ける

仏教の場合、お墓にも宗派による違いがあります。竿石(お墓の一番上、彫刻が施される部分)に刻まれた文字や内容に各宗派の特徴があらわれるため、基本的にはお墓を確認することで宗派を調べることが可能です。各宗派のお墓の基本的な特徴を以下にまとめました。
ただし、近年はお墓のあり方も変化しており、好きな言葉や文字などを彫刻するケースも少なくありません。お墓を見れば確実に宗派を特定できる、とは言い切れないため注意が必要です。

宗派 特徴
浄土真宗
(本願寺派・真宗大谷派)
・「南無阿弥陀仏」や「倶会一処(くえいっしょ)」の文言を刻む。一般的には「〇〇家之墓」と家名を刻むことが多い
・戒名ではなく、頭に「釈」「釈(尼)」が付けられた法名が彫刻されているのが特徴
浄土宗 ・阿弥陀如来を表す梵字(キリーク)が彫刻されていることが多い
・戒名に「誉」の文字が含まれていることも
曹洞宗 ・「○」または「空」が刻まれていることがある
日蓮宗 ・「南無妙法蓮華経」または「妙法」と彫刻されることが多い
・戒名に「日」の文字が含まれることが多い。男性は「法」、女性は「妙」が入っていれば日蓮宗
天台宗 ・大日如来を表す「ア」、阿弥陀如来を表す梵字「キリーク」が彫刻されていることが多い
真言宗 ・大日如来を表す「ア」が彫刻されることが多い
・「南無大師遍照金剛」の文言を刻むことも
臨済宗 ・「○」または「空」が刻まれていることがある

8.宗教・宗派別葬儀の要点まとめ

● 日本で行われている葬儀は9割が仏式。宗教・宗派によって葬儀形式は異なる。

・仏式以外に日本で行われる葬儀形式としては、神式、キリスト教式、無宗教葬儀などがある
・葬儀は各宗教・宗派の死生観にもとづくため、葬儀に対する考え方もそれぞれ異なる

● 仏教には多くの宗派が存在し、儀式の流れや作法なども異なるため注意が必要。

・神式葬儀では統一された式次第は存在しないが、玉串奉奠の儀式を行うことが特徴
・キリスト教では、カトリックとプロテスタントで葬儀の意義や流れ、関連する用語も異なる
・宗教上の制約がない無宗教葬儀は、故人や遺族の希望を反映した自由な形式で行われる

● お葬式は宗教・宗派にそって行われるため、分からない場合は必ず調べて確認する。

・宗派が分からない場合は、先祖代々の墓がある菩提寺を調べることで確認できる
・仏壇に祀られている本尊や祀り方、戒名、お墓の彫刻から宗派を見分けることも可能

メモリアルアートの大野屋では、ベテランスタッフが常に待機しております。それぞれの宗教や宗派の葬儀や法要について、お客様それぞれのご状況をお伺いし、お悩みに沿ったご提案をさせていただきますので、いつでもお気軽にご相談ください。

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